Kyoto Seika University MOYO Project

2018

原田実侑

misebaya

植物を象った伝統的な模様は、その形に意味を託され、想いを伝承する。
それらに倣い、『平穏無事』という護符の意味を持つミセバヤを描いた。一見、この模様は単調と思うだろう。だが、これは上下左右どこで反転させても同じにはならない。
ずっと同じ状態が続かない、というのは自然の摂理である。「食べる物があり、寝る所がある」といった、普段意識すらしない私たちの『当たり前』もふとした瞬間に一変する可能性を孕むのだ。しかし、宗教と関わりの薄い日本人には、この『当たり前』を日々振り返り、感謝し、願う習慣がない。
だから私は、この模様に「とりなしの祈り」を込めた。ゆるやかでいて怒涛の流れの中を生きる現代の人々に平穏無事でいてほしい、と。とりなしの祈りとは、直接この手で救うことのできない他者の為に祈ることをいう。

どうか、このとりなしの模様を見る貴方に、当たり前と平穏で満ちた一日が訪れますよう。

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