2020
山中来未
街の星
幼い頃にみた星空を忘れられずにいました。
手を伸ばせば届きそうなほどに星が近く感じられ、上を向けば空に飲み込まれるような気分になり、空の中に立っているような錯覚さえ起こすほど、印象的な星空でした。
しかし昨今ではどうでしょうか。街は整備され、街灯が増えたことで夜でも明るい場所がほとんどでしょう。
明るい場所では空気が澄んだ秋や冬ですら夜空は遠く、手を伸ばしても到底手など届く気配はなく、先述のような星空を見ることは叶いません。我々は夜道の安全と引き換えにあのような星空を見る機会を失ったのです。都会ではむしろたくさんの人工的な光を星空に例えることもあります。現代において人々にとって星空は夜景に取って代わりつつあるのではないでしょうか。
しかし、あのような星空を遠い記憶にしまっておくだけでは惜しい、もっと身近に感じることができたらどれほどいいでしょう。そこでこの作品では街灯を星に見立て、壁紙にすることで、家の中にいながら常に星空を身近に感じられるようにしました。
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