Kyoto Seika University MOYO Project

2018

吉澤恵

相環図「ラ コリーナ 図案」
相環図「田歌 図案」

相環図「ラ コリーナ 図案」

相環図「田歌 図案」

風景というものは存在する全てのものがお互いに影響し合い、支え合い、引き立てあって創り出されています。その様はどこを切り取っても美しい絵画のようです。そのまま表現してみると、現地のバックストーリーに匂いや音までもが埋め込まれたような図案が生まれました。「模様」と呼ぶほど装飾的ではなく、「イラスト」というほど独創的なものでもない、新たな表現の提案になれば幸いです。

ラ コリーナ 図案
滋賀・近江八幡の田園風景に位置する、お菓子会社「たねやグループ」の心臓部となる施設です。お菓子づくりを筆頭に「食べること」「生きること」の大切さを世に広めようと施設内外で様々な取り組みを行っている。集落のような作りの建物も可愛らしく人気があり、スタッフや近隣の方々とともに刻んだ手形や銅版などの痕跡をあちこちに見ることができます。
この図案は、「七宝模様」と呼ばれる、正円がたくさん並んだような模様をヒントに制作しました。七宝とは仏教の言葉で、金・銀・瑠璃(るり)などの宝石7 品目のことを指すが、音の響きが「四方」にも聞こえることから「四方八方に円(縁)がつながる」という意味も持っています。たねやグループは、看板やテレビCM などのマスメディアを一切使わない会社です。にも関わらずその商品は、社員を始め地域の人や子供達などの大勢のファンに愛されています。この縁がさらに大きなものになることを願い、この模様をベースにラ コリーナの景色を並べました。

田歌 図案
田歌舎は、京都・美山に構える、アウトドアや自然体験のできるお店です。「食・住・遊」を中心に様々なプログラムが用意されており、自然と暮らしが密接に繋がっていることを身を以て感じることができます。基本的に食材や電気・ガスなどもスタッフが賄っており、野菜や米の栽培のほか、鹿などの獣の狩猟も行っています(主に冬)。
私は3年生の後期にフィールドプログラムという授業を選択し、自然体験のインプットから制作物を作るということを行っていました。その際に毎週通っていたのがこちらで、蕎麦の収穫から鹿狩の見学まで本当に様々な体験をさせていただきました。どの体験もその年の気候や山の様子が密接に関わってきており、まるで山が一つの大きな生命体のように感じたことをよく覚えています。訪れる度に感じる季節の鮮やかさ、匂いなどを一つの土地として感じていただけたらいいなと思い、たくさんの情景を1 枚の絵のように繋げてみました。よく見ると田歌舎の皆様や同じプログラムを受講したメンバーが隠れています。

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